アメリカのデカコーン企業が資金調達をしてやっと手に入れたもの

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人知の及ばぬ32ビットの空間に、
名前がついたその日から、
見知らぬあなたと、見知らぬあなたに、
ウェブの糸がつながった
ドメインの織りなす運命を解き明かす
あらたな世界の扉が開かれる
それが、あなたの知らないドメインの.世界

 

 

アメリカのデカコーン企業が資金調達をしてやっと手に入れたものをご存じですか?

 

それは社名と同じ文字列のドメイン「deel.com」です。

 

リモートワークでの労務管理SaaSを提供するディール社は2018年にスタートアップした企業。
当初は「letsdeel.com」でサイトの運営を開始しました。理想的なドメイン名ではありませんで
したが、当時は資金が限られていたため、高額なドメインよりも製品への取り組みやチーム構築
に対しての投資がはるかに重要でした。

 

同社は2020年5月、アンドリーセン・ホロウィッツ氏のベンチャーキャピタルから1,400万ドル
(約15億1,000万円※1)の資金調達を皮切りに、2021年までに総額6億7,900万ドル
(約733億3,000万円※1)もの資金調達に成功。 企業評価額は1年で約10倍の120億ドル
(約1兆2,960億円※1)になり、顧客基盤がますます拡大しているディール社の評価額は、
その後も上昇しています。同社の国境を越えた先にいる人材を雇用できる仕組みが、世界中の
クライアントに活用されているのです。ディール社公開のデータによると、2021年10月に約4,000
社だったクライアントは、2022年5月には8,000社以上に増えています。

 

急速に拡大するクライアントに伴い、企業評価額が100億ドルを突破するとデカコーン企業(※2)
の地位に到達。最新の資金調達(5,000万ドル、約54億円※1)を発表する前に、社名と完全一致し
た「.com」ドメイン「deel.com」を取得することができたのです。「deel.com」は、
「domaining.com」の創設者フランソワ・カリージョ氏からディール社に売却されました。
Whoisデータによると、同社は今回の取得と同時に「deel.co」も取得しています。

 

「deel.com」を手に入れたことで、ディール社はより良いデジタルアイデンティティを確保する
ことになりました。ドメインの取得額は公表されていませんが、高額であったと推測されます。
ネット事業はドメインが重要と判断され、高額なドメイン買取もこれからの事業投資として必要
と判断されます。将来大きくなる可能性があるベンチャー企業名やそのサービスの文字列を含む
ドメインは、将来高額で買い取ってもらえるかもしれませんね。

 

※1 2020年6月の平均為替レート(1ドル=約108円)で換算。
※2 デカコーン企業(Decacorn Company)とは、ユニコーン企業の10倍(100億ドル)以上の企業評価額が付けられているスタートアップやベンチャーなどのこと。「ユニ」は1、「デカ」は10を表す単位であることから名付けられています。

 

参考
Deel announces $50 million in funding after acquiring Deel.com
Slack越えの最速成長、グローバル人材市場を変革するSaaS企業ディールとは
You’ll Never Guess How Deel is Now Using Deel.com
Payroll platform Deel reaches decacorn status just a year after hitting $1bn valuation

 

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